無資格でも大丈夫!人材不足の歯科医院は猫の手も借りたい
初めての経験や、知らないことに対しては、誰もが不安や恐怖を感じてしまいます。未経験、しかも無資格で歯科医院で働くのは実際は可能であるのか、そして難しいことなのかなどを、私の実体験も踏まえてご紹介します。
資格が無くても広き門の歯科医院
私が歯科医院で働こうと思ったのは、特に理由もなく近所の歯科医院で求人していたので、何となく応募しただけでした。
それまでは、コンビニや衣料販売店などでのアルバイトぐらいしか職務経験が無く、歯科で働いた経験もなければ、その他の医療関係に勤めたこともない、全くのド素人でしたが、そんな私でも、翌日から来てくれ!と即採用でビックリしたのを今でも覚えています。
無資格、未経験なのに即採用というのは、割と珍しいことではなく、私の応募した歯科医院が特別だったという訳でもないのです。
歯科医院で働くというのは、狭き門ではありませんし、働きながらでも知識は得ることができますので、やる気さえあれば良いのです。
資格がないから…と、応募をためらっているなら、それは勿体ないです!無資格でも働いている方はたくさんいますし、逆に資格や知識があっても現場で働くのは別物ですから、資格の有無は気にすることはありません。
多くの歯科医院では人材不足が深刻に
歯科と言えどもれっきとした医療機関です。もちろん専門的なことが多く、人命に関わることだって最悪あり得ます。そのような業務内容ですから、できれば歯科衛生士さんなどの資格を持っている方に働いて欲しいのが本音です。
それでも、無資格の人間を多く採用しているというのは、歯科衛生士さんが極端に少ないことが原因のひとつになっています。
その理由として、まず歯科医院がとても多いということ。コンビニよりも歯医者の方が多いなんて言われていますが、そのくらい乱立しており、衛生士さんを奪い合っているような状況です。
そして、次にその衛生士さんですが、現役で働いている方が非常に少ないです。衛生士学校で資格を取る人はたくさんいるのですが、その後は別の職種で働いたり、歯科医院で勤め出しても数年で結婚してやめてしまう方がほとんどです。
歯科衛生士は国家資格ですが、同じく国家資格の看護師は極端に働いている人が少ないということはありません。
歯科衛生士として歯科で働いてもらえるお給料と、看護師として医科で働いてもらえるお給料では、断然医科の方が高いです。低いお給料の割に、求められることも多いので、歯科衛生士として働くメリットが低いことも影響しているでしょう。
また、歯科医院で働いている女性は、半数は歯科助手などの無資格の人です。そして、このように無資格の方は専門知識もないですから、働き始めはかなり努力が必要となります。
ですが大抵は、器具や、治療内容などを把握できるようになり、業務をこなすための戦力となる頃には辞めてしまい、そしてまた人材不足となってしまうのです。
歯科は保険点数がとても低い
仕事を選ぶ際にお給料も重要ですよね。歯科医院のお給料は決して悪くはありませんが、医科と比べると劣ってしまいます。
それは、保険診療点数の違いからくる収入格差も原因のひとつとなっています。
治療内容にもよりますが、歯科の治療は安いときで200~300円くらいで済んでしまう場合もあります。さらに高齢者で自己負担が1割だと100円くらいなんてこともあります。
保険点数が低くても、医療機関ですので衛生士さんなどのスタッフは必要となり、人件費もかかります。さらに、薬品や器具も揃えておかなくてはいけませんし、施設の電気代などの維持費も必要となります。
診療で得る収入から、このような経費を引くと、保険診療だけの歯科医院では経営が難しいといわれるほどに、少ないのが現状です。
インプラントや、矯正などの自費診療で収入面をカバーしている所がほとんどですが、やはり大半の歯科医院では人件費をなるべく抑えたいということもあり、医科並みのお給料を望むことは難しいです。
そのため人材は確保したいがお給料は多く出せないため、苦労している経営者が多いようです。
歯科助手と歯科事務は兼任する場合も
無資格の場合は「歯科助手」か「歯科事務」の仕事をすることになります。
スタッフの数も多い歯科医院の場合は助手と事務の仕事の線引きはしっかりされており、歯科事務として採用された場合は、その業務にだけ当たることになります。
ですが、大抵は人材が足りていない場合が多く、歯科事務から仕事を教えることが難しい所が多く、資格が無い場合は、まず歯科助手として働くことになるでしょう。
では、なぜ歯科助手から始めるのかというと、事務の仕事は病名や処置内容を理解していないと次のアポイントを取るのが難しかったり、中には処置をPC入力しなくてはなりません。治療に関して無知ですと、こういった作業で時間がかかり、作業効率が非常に悪くなります。
一日の予約人数が数人だけ、という歯科医院ももちろんありますが、保険診療がメインでその他に自費診療をしているという場合ですと、1日60~70人くらい診療するため、回転を速くしないと診療時間内に終わらないですし、何より予約で来ている患者さんを待たせてしまうことになるのです。
こういったことから、事務の仕事を無資格、未経験で始める場合は、初めは歯科助手として、知識を蓄えてから、ようやく事務職に就くことになるのです。
それでも助手の仕事はせずに、事務の仕事だけをしたいという方も中にはいると思います。先ほど少し触れましたが、スタッフ数が多い所などは事務職だけで募集している所もあるので、そういったところを探してみるのも一つの方法です。
ですが、圧倒的に歯科助手の募集の方が多いですし、長い目でみると助手として働いた経験は事務に生かせるので、やっておいた方が良いと思います。
具体的にどのような治療をしているのか、治療時間はどのくらいかかるのか、などは実際に治療のアシスタントをしながら覚えていきます。機械ではなく、人間の体ですので、個人差や、その病気の程度によって違いがあります。
その違いを知っていることで、臨機応変に対応できるようになったり、患者さんから治療に関して問い合わせがあっても答えられるようになりますので、助手の経験は無駄ではありません。
知識はあって無駄なことはありませんし、邪魔にもなりません。事務の仕事だけをしたい方にとっては遠回りに感じるかもしれませんが、知識や経験は評価に繋がり、お給料にも影響していきますので、一歩一歩頑張っていきましょう。
執筆者 トヨタマ
無資格、未経験で歯科医院で働き始めて、歯科助手を経て歯科事務職をこなすようになり、気が付けば一人でレセプトをするまでに。多忙な業務のため、鬱になり退職しましたが、未経験から働くためのノウハウをお伝えしたいです。