白い被せものCAD/CAM冠を請求する時のポイント
はじめに
保険診療にCAD/CAM冠が導入されてから数年経ちました。CAD/CAM冠は白く目立ちにくいので、これを採用している歯科医院も増えてきました。そこでCAD/CAM冠を保険で算定する際のポイントについてまとめてみました。
CAD/CAM冠ってなに?どんな被せものなの?
CAD/CAMとは、Computer-Aided Design/Computer Aided Manufacturingの略で、コンピュータを用いて設計や製造を行うという意味です。歯科ではなく、工業の分野でおなじみの言葉です。歯科でのCAD/CAMを用いた被せものを作る技術は、30年ほど前にヨーロッパで開発されました。
今までの被せものが、歯科技工士によるひとつひとつ手作業で作られていたことを考えると、CAD/CAMを使って被せものを作るわけですから、まさに画期的な方法と言えます。
CAD/CAM冠を請求するための施設基準は?
CAD/CAM冠を請求するためには、施設基準に適合している必要があります。
1.歯科医師の経験年数が3年以上あること
2.歯科技工士がいるか、いない場合は歯科技工所と連携出来ていること
3.CAD/CAM装置があるか、ない場合は配備している歯科技工所と連携出来ていること
CAD/CAM冠が適応出来る歯はどれ?
CAD/CAM冠が保険診療に導入されたといっても、実は全ての歯に適応されているわけではありません。
平成29年現在、認められているのは、基本的に第一小臼歯と第二小臼歯だけです。
加えて、歯科用金属による金属アレルギーがある場合に限って、大臼歯も認められています。大臼歯に適応するには、医科との連携による診療情報提供がなされていることが必須となります。
CAD/CAM冠を適応するときの病名について
CAD/CAM冠であっても、従来からあるFMCや4/5冠を適応するときと病名が異なるわけではありません。
単に生活歯を削って被せるだけなら、歯の部位と”C”病名です。
失活歯を削って被せるなら、歯の部位と”C3処置歯”という病名です。
むし歯で抜髄が必要な歯なら、歯の部位と”Pul”病名になります。
歯根膜炎を起こした歯の場合は、形成の前に感染根管治療が必要となるので、歯の部位と”Per”病名となります。
CAD/CAM冠の点数について
1歯ごとに請求します。
歯冠形成は、生Pz796点、失Pz636点です。
メタルコアが装着された場合は、メタルコア加算30点がつきます。
印象料は、連合印象62点、単純印象30点です。
咬合採得料は16点です。
装着料は45点です。
内面処理加算は45点です。
補綴物維持管理料は100点です。
間違えたり請求し忘れたりしないようにしましょう。
CAD/CAM冠請求の注意点
臼歯部ですが、CAD/CAM冠を請求する時には、いままでのFMCと同じようにしてはいけません。FMCの生Pzは306点、失Pzは166点ですが、CAD/CAM冠の歯冠形成の費用は共にレジン前装冠の形成に準じた点数になっています。
CAD/CAM冠を装着する時には、接着性を向上させるために内面処理を行なうことがあります。FMCやレジン前装冠にはこの処理がありません。内面処理をした場合に請求し忘れないようにしましょう。
補綴物維持管理料を請求出来ますが、その場合は2年間は新しく作りかえた場合の請求は出来なくなります。
金属アレルギー患者の大臼歯にCAD/CAM冠を適応しても、補綴物維持管理料は請求出来ません。
本日のまとめ
CAD/CAM冠とFMCの違いについて、適応部位、点数などに注意をしましょう。微妙に異なる点がありますからね。
関連リンク
執筆者 抜歯屋さん
『市中病院に勤務している歯科医師です。専門分野は口腔外科です。電車に揺られて通勤中。好きなものはレゴとスターウォーズ。いつか、レゴで家の模型を作って、ストームトルーパーを配置するのが夢』