メインメニュー >

整形外科における間違いやすい算定とは?【その4】

トリガーポイント注射

さて、今回は日々の整形外科の診療において、分かっているようで落ちている点、チェックして欲しい病名、コメント等についてご紹介していきます。

1.トリガーポイント注射の算定について

整形外科において、痛い部分にピンポイントに局所的に注射を施行することが多くあります。この際には、麻酔の項目の「トリガーポイント注射(80点)」を算定することになっています。

このトリガーポイント注射において、診療報酬点数表の注を参照すると、「トリガーポイント注射は、圧痛点に局所麻酔剤あるいは局所麻酔剤を主剤とする薬剤を 注射する手技であり、施行した回数及び部位にかかわらず、1日につき1回算定できる。」となっています。

例えば、頚椎症と腰椎椎間板ヘルニアの病名で、同日に頚と腰の両方にトリガーポイント注射を施行した場合でも、手技の80点は1つしか算定出来ません。レセプトを参照していると、多部位に注射を施行したからといって、同日に薬剤2つの他に手技も2つ算定している場合があります。疼痛部位が全く違ういかなる場合でも、トリガーポイント注射の算定は1日に1回のみです。

また、病名にも注意が必要です。例えば、頚椎捻挫や腰椎捻挫、挫傷等の病名は急性期の病名であり、トリガーポイント注射の病名には適していません。捻挫後の痛み等でトリガーポイント注射を行う場合には、他の急性期ではない病名を付ける必要があります。

2.比較のためのレントゲンを撮影した場合にはコメントを忘れずに

整形外科の診療は、毎日の中で外傷後の痛み方もとても多く、沢山のレントゲン撮影を行います。中でも、外傷後の骨折を疑う場合には、左右における患側(ケガをした方)のレントゲン撮影だけではなく、健側(ケガをしていない方)のレントゲンも撮影行い、骨を左右で比較し、骨折や不全骨折等の異常がないかをしっかり確認します。

例えば、右環指をボール等で突き指した患者様の場合、右手のレントゲン撮影はもちろんのこと、骨折の有無がはっきりしない場合や、骨折を疑う場合、左手のレントゲン撮影も行います。左手のレントゲンを撮影したのに、病名が右手だけしかなかった場合、左手は一体何のための撮影なのか、レセプトを見ているだけでは分かりません。

この場合、左手のレントゲン撮影をなぜ行ったかのコメントを入力しましょう。例えば、「左手のレントゲン撮影は、患側との比較のため撮影しました。」等です。さらに、比較に伴う病名も必要です。「右環指中節骨骨折、または疑い」等となります。

ここまで入力できていれば、左手のレントゲン撮影は、右の環指の骨折を疑ったから必要だったのだなと、誰が見ても一目瞭然で分かります。とても分かりやすい親切なレセプトに仕上がると思うので、比較に伴うコメント、比較のための病名を忘れずに入力しましょう。

医療事務の転職・求人を探すなら【介護求人ナビ】

3.急性病名はどんどん転記をしましょう!

気を付けているようで意外と落ちやすいのが、この転記の作業です。本来であれば、医師が状態を確認し、都度その病名の転記を行わなければいけないのですが、日々の外来や業務の中、全ての病名の転記を医師に任せるわけにはいきません。

その場合は、事務員が医師に転記をどうするかを確認し、確実に転記を行う必要があります。

例えば、整形外科の外来においてよく使われる急性病名の中に、蜂窩織炎(ほうかしきえん)と呼ばれる病名があります。抗生剤などを投与することで寛解する場合がほとんどです。

そのため、数か月にも渡って漫然と、蜂窩織炎の病名が付いたままのレセプトでは、診療報酬での審査において、その患者の状態をしっかり確認していないものとされてしまいます。

また、捻挫や挫傷などの外傷の病名も同様です。数か月にも渡って、外傷の病名が付いているのは良くありませんので、状態を確認した上でどんどん転記をし、見やすいレセプトに仕上げる必要があります。

整形外科の外来において多く算定されている「運動器リハビリテーション」。運動器リハビリテーションを算定する際には、その疾患が運動器リハビリテーションを算定するための病名として適合しているか、リハビリテーションの期限を超えてリハビリを行っていないか、月の単位は守られているか、消炎鎮痛処置と同日に算定していないか等、きちんとチェックしてから診療報酬の請求を行いましょう。

関連リンク

眠り姫の医療事務員

執筆者 

30代、女性、医療事務歴約10年、地方にある整形外科診療所に勤務している二児の女の子のママ。仕事の時はテキパキと、プライベートでは子供と一緒によく眠るのんびり屋です。