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レセコン導入は待ったなし!ITと人のWチェックで返戻を防ぐ!【医療のICT化 第1回】

医療ICT

2015年3月にレセプトオンライ請求の猶予期間が終了し、書面による診療報酬請求が不可となります(厚労省請求省令)。

個人開業の診療所といえど、医療のICT化は待ったなしの時期に来ています。レセコンはもちろん、電子カルテ、オーダリングシステムなども小規模の医療機関でも導入の意向が高まっています。

本コラムでは3回にわたり、レセコン、電子カルテ、オーダリングシステムそれぞれの機器導入におけるメリット、注意点などを紹介していきます。

レセコン選定は、PC入れ替え、電子カルテ導入等先を見すえた視点を

レセプトコンピュータの導入費用は、初期投資でクラウド型の安いものだと60万円、クラウド型ではないものだと高いもので250万円くらいと幅がかなりあります。これは契約に含まれるものによっても差が出てきます。単なる初期投資額を見るのではなく、初期投資の契約に何が含まれているのかをしっかり見極めることが大切です。

ベンダによって、インストラクション費用がきちんと含まれているところと、そうでないところがあり、見積もりを取る段階で確認することが大切です。

導入時は初期費用にどうしても目が行ってしまい、「先を見据える」という視点を見落としがちです。

コンピュータは減価償却できる消耗品であり、数年ごとに入れ替えを考える必要があります。コンピュータを新しい機種に入れ替えるとき、あるいはレセコンを電子カルテ一体型に変更するとき、データ移行がスムーズに行えるかということも意識すべきです。

ORCA(日医標準レセプトソフト)をはじめ、医療関連のコードが標準化対応されているものであれば問題はないでしょう。

精度が高まっているチェックソフトは、算定もれや返戻減少には必須

レセコン導入の際は、レセプトチェック機能のソフトを搭載すべきです。ソフト+人間のダブルチェックにより、算定もれや返戻を減らします。
また、従来、人間だけでやっていたときと比べて時間短縮になるため職員の残業代も減らせます。経営面でも大きなメリットがあります。

かつてのレセプトチェック機能のソフトでは、数量の入力ミス、単純な病名もれ、重複算定に対しては反応できていましたが、医学管理料の算定もれの可能性の指摘まではできませんでした。
近年では、入力されている病名から医学管理料の算定の可能性を指摘したり、薬や検査の適応病名からの病名もれを指摘したりできるようになっています。しかも、画面上に赤線が引かれて、注目すべき箇所をすぐに探せる形になっていたり、紙点検のイメージを生かしたソフトでは画面上に付箋がつけられたりします。

人間の目とチェックソフトのWチェックで診療報酬請求を万全に!

医療機関の収益の鍵をにぎるのは「医学管理料」です。月に1回、算定できるものを算定しなければ収益に大きな差がでます。ただし、指導料関係はの算定はカルテの記載も影響してきます。
理想的なのは、コンピュータで指摘されたものについては、医療事務員の目で本当に算定できるのかどうかを確認し、さらにはカルテもよく見て、指導の形跡が感じられなければ医師に相談し、監査のことも考え、算定の重視とともにカルテ記載の重視に努めるべきです。

とある病院の事務長が「医学管理料の算定は医療事務の腕のみせどころ」と話していました。医療事務員のスキルも問われる部分です。

もう一つ、チェックソフトの洗い出しから人間が手をかけることにより減点が減らせるものがあります。検査です。

検査は、適応病名がないと査定されてしまうことが多いです。かといって、単純に病名をつければ済むというものでもないことがあります。そういったものに関しては、コメントを入力することで防げます。保険診療としてのきちんとした理由づけがなされれば査定はされません。

このようにレセプトに記載される内容と請求すべき点数は、千差万別であり、時にはフレキシブルな対応が求められます。レセプトチェックソフトが高精度となったとはいえ、かならず人間の目は必要です。
ひとつひとつのレセプトを人間の目でしっかりチェックするためにも、医療事務員の負担を減らす必要があり、高機能なレセプトコンピュータは、まさに医療事務員の負担を減らす、相棒であるといえます。

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東條よしひろ

執筆者 

新潟県内の地域医療支援病院で8年間勤務ののち、専門学校講師として医療事務関連科目を担当。現在は医療事務関連の非常勤講師やコラムなどの執筆活動を行っている。