第12部 歯冠修復及び欠損補綴
通則
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- 1 歯冠修復及び欠損補綴の費用は、特に規定する場合を除き、第1節の各区分の所定点数、第2節に掲げる医療機器等及び第3節に掲げる特定保険医療材料(別に厚生労働大臣が定める保険医療材料をいう。以下この部において同じ。)の所定点数を合算した点数により算定する。
- 2 歯冠修復の費用は、歯冠修復に付随して行った仮封、裏装及び隔壁の費用を含む。
- 3 第12部に掲げられていない歯冠修復及び欠損補綴であって特殊な歯冠修復及び欠損補綴の費用は、第12部に掲げられている歯冠修復及び欠損補綴のうちで最も近似する歯冠修復及び欠損補綴の各区分の所定点数により算定する。
- 4 6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な者に対して歯冠修復及び欠損補綴(区分番号M010、M011、M014、M015及びM017からM026までに掲げるものを除く。)を行った場合は、全身麻酔下で行った場合を除き、当該歯冠修復及び欠損補綴の所定点数に所定点数の100分の50に相当する点数を加算する。ただし、通則第6号又は第7号に掲げる加算を算定する場合は、この限りでない。
- 5 歯冠修復及び欠損補綴料には、製作技工に要する費用及び製作管理に要する費用が含まれ、その割合は、製作技工に要する費用がおおむね100分の70、製作管理に要する費用がおおむね100分の30である。
- 6 区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料のみを算定する患者に対して、歯科訪問診療時に歯冠修復又は欠損補綴(区分番号M029に掲げるものに限る。)を行った場合は、当該歯冠修復又は欠損補綴の所定点数に所定点数の100分の50に相当する点数を加算する。
- 7 区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料及び同注5に規定する加算を算定する患者に対して、歯科訪問診療時に歯冠修復又は欠損補綴(区分番号M010、M011、M014、M015及びM017からM026までを除く。)を行った場合は、当該歯冠修復又は欠損補綴の所定点数に所定点数の100分の50に相当する点数を加算する。
- 8 区分番号M000-2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料について地方厚生局長等へ届け出た保険医療機関以外の保険医療機関において、歯冠補綴物又はブリッジ(接着ブリッジを含む。以下同じ。)を製作し、当該補綴物を装着する場合の検査並びに歯冠修復及び欠損補綴の費用は、所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。
- 9 歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る一連の診療行為における歯肉圧排、歯肉整形、研磨、特定薬剤等の費用は、それぞれの点数に含まれ、別に算定できない。
通知
通則
- 1 歯冠修復及び欠損補綴は、第1節中の各区分の注に「保険医療材料料は、所定点数に含まれる。」等と規定されているものを除き、第1節の各区分の所定点数に第3節の特定保険医療材 料料を合算して算定する。
- 2 歯冠修復及び欠損補綴を行った場合の算定は、一連の歯冠修復及び欠損補綴の所定点数を併せて算定する。
- 3 印象採得、咬合採得、仮床試適及び装着は、それぞれの診療行為を行った際に算定する。
- 4 歯冠修復の当日に行うう蝕処置は、歯冠修復の所定点数に含まれ別に算定できない。
- 5 有床義歯、ブリッジ(接着ブリッジを含む。以下同じ。)等において人工歯を使用した場合の当該人工歯は、人工歯を必要とする部位が両側にわたる場合は1組として、片側の場合は2 分の1組として、それぞれ人工歯材料料として算定する。
- 6 「通則3」は、この部に規定していない歯冠修復及び欠損補綴について、この部に規定している歯冠修復及び欠損補綴のうち、最も近似する歯冠修復及び欠損補綴の所定点数による算定 が妥当であるものは、その都度当局に内議の上、所定点数の準用を可能とする旨を規定してい る。
- 7 「通則4」による乳幼児又は著しく歯科診療が困難な者に対する加算は、区分番号M003に掲げる印象採得の「2 欠損補綴のロ」、「2 欠損補綴のハ」、区分番号M006に掲げ る咬合採得の「2 欠損補綴のロ」又は区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法につい ては所定点数の100分の70を加算し、その他の第12部に掲げる歯冠修復及び欠損補綴(区分番号M000からM000-3まで、M003の「2 欠損補綴のロ」、「2 欠損補綴のハ」、 M006に掲げる咬合採得の「2 欠損補綴のロ」、M010、M011、M014からM015-2 まで、M017 からM026まで及びM030を除く。) については所定点数の100分の50を加算する。
- 8 「通則4」又は「通則7」の著しく歯科診療が困難な者に対する100分の70加算又は100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢 の保持を目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に算定す る。この場合において、当該加算を算定した日における患者の状態を診療録に記載する。
- 9 6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な者である場合(100分の70加算又は100分の50加算)は、乳幼児加算のみを算定する。
- 10 歯冠修復及び欠損補綴物の製作に係る一連の診療行為における歯肉圧排、歯肉整形、暫間被覆冠(区分番号M003-2に掲げるテンポラリークラウン及び区分番号M004に掲げるリ テイナーを除く。)、特定薬剤等は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。
- 11 歯科訪問診療は通院困難な療養中の患者について実施するが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等 の訪問診療で求められる診療の重要性及び困難性を考慮し、区分番号C000に掲げる歯科訪 問診療料を算定する患者であって、同注5に規定する加算を算定しないものに対して行った第8部に掲げる処置、第9部に掲げる手術及び第12部に掲げる歯冠修復及び欠損補綴を行った 場合は、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
- イ 区分番号M003(2のロ及びハに限る。)に掲げる印象採得、区分番号M006(2の ロに限る。)に掲げる咬合採得又は区分番号M030に掲げる有床義歯内面適合法所定点数の100分の70に相当する点数
- ロ 区分番号I005(3に限る。)に掲げる抜髄、区分番号I006(3に限る。)に掲げ る感染根管処置、区分番号J000(1、2及び3に限る。)に掲げる抜歯手術(注1による加算を算定した場合をh28.11.17除く。)又は区分番号M029に掲げる有床義歯修理所定点数の 100分の 50に相当する点数
- ハ 区分番号I005(1及び2に限る。)に掲げる抜髄、区分番号I006(1及び2に限る。)に掲げる感染根管処置、区分番号J013(2に限る。)に掲げる口腔内消炎手術所定点数の 100分の 30に相当する点数
- 12 「通則8」でいう検査とは、区分番号D009に掲げる顎運動関連検査及びD010に掲げる歯冠補綴時色調採得検査をいう。
- 13 区分番号M000-2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料(補綴物維持管理料)の「注1」に係る地方厚生(支)局長への届出を行っていない保険医療機関において、歯冠補綴物及 びブリッジの製作を行い装着した場合は、当該歯冠補綴物及びブリッジに係る補綴関連検査、 歯冠修復及び欠損補綴に係る一連の費用の所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。また、当該歯冠補綴物等の製作に先立ち区分番号I008-2に掲げる加圧根管充填処置を行った場合も、当該処置は算定できない。
- 14 保険給付外診療で製作された歯冠修復物及び欠損補綴物であって、後日、脱落した際の再装 着及び破損した場合の修理は、保険給付の再装着、修理と同一の場合であっても保険給付の対 象とはならない。なお、他院で製作された歯冠修復物及びブリッジであって、装着後、区分番号M000-2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の「注2」に規定する期間に相当する 期間を経過したものはこの限りではない。
- 15 有床義歯製作中であって咬合採得後、試適を行う前に患者が理由なく来院しなくなった場合、 患者の意思により治療を中止した場合又は患者が死亡した場合は、診療録に装着物の種類、試 適予定日及び試適できなくなった理由等を記載する。この場合において、製作された区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M021-2に掲げるコンビネーション鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー及び区分番号M023に掲げるバーにあっては、各区分の所定点数及び特定保険医療材料並びに特定保険医療材料である人工歯を請求する。また、区分番号M007に掲げる仮床試適、区分番号M005に掲げる装着は算定できない。なお、請求に当たっては、試適の予定日から起算して1月以上経過した上で行う。ただし、患者が死亡した場合であって死亡が明らかな場合は、この限りでない。
- 16 患者が理由なく来院しなくなった場合、患者の意思により治療を中止した場合、患者が死亡 した場合であって、区分番号M002に掲げる支台築造(間接法により製作した場合に限る。)、 区分番号M009に掲げる充填(間接法によりCRインレーを製作した場合に限る。)、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復、区分番号M011に掲げるレジン前装金属冠、区分番号 M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠、区分番 号M015-2に掲げるCAD/CAM冠、区分番号M016に掲げる乳歯冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M016-2に掲げる小児保隙装置、区分番号M017に 掲げるポンティック、区分番号M018に掲げる有床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑 性樹脂有床義歯、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M021-2に掲げるコンビネーション鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー又は区分番号M023に掲げるバーの製作がすでに行われているにもかかわらず装着できない場合 は、診療録に装着物の種類、装着予定日及び装着できなくなった理由等を記載した場合に、当 該各区分及び特定保険医療材料料を請求する。また、区分番号M005に掲げる装着及び装着材料料は算定できない。なお、請求に当たっては、装着の予定日から起算して1月以上経過し た上で行う。ただし、患者が死亡した場合であって死亡が明らかな場合は、この限りでない。
- 17 歯冠修復及び欠損補綴の場合、歯冠形成及び印象採得後、偶発的な事故等を原因とする外傷による歯冠形成歯の喪失等のやむを得ない場合は、当該歯に装着予定の完成している歯冠修復 物及び欠損補綴物について診療録に歯冠修復物又は欠損補綴物の種類、装着予定日及び装着で きなくなった理由等を記載する。この場合において、区分番号M009に掲げる充填(間接法によりCRインレーを製作した場合に限る。)、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復、区 分番号M011に掲げるレジン前装金属冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番 号M015に掲げる硬質レジンジャケット冠、区分番号M015-2に掲げるCAD/CAM冠、区分番号M016に掲げる乳歯冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M0 16-2に掲げる小児保隙装置及び区分番号M017に掲げるポンティックの各区分並びに特 定保険医療材料料を請求する。なお、区分番号M005に掲げる装着及び装着材料料は算定できない。
- 18 未来院請求後に患者が再び来院し、すでに未来院請求を行った区分番号M002に掲げる支 台築造(間接法で製作したものに限る。)、区分番号M009に掲げる充填(間接法によりCR インレーを製作した場合に限る。)、区分番号M010に掲げる金属歯冠修復、区分番号M011に掲げるレジン前装金属冠、区分番号M014に掲げるジャケット冠、区分番号M015 に掲げる硬質レジンジャケット冠、区分番号M015-2に掲げるCAD/CAM冠、区分番 号M016に掲げる乳歯冠(間接法により製作した場合に限る。)、区分番号M016-2に掲げる小児保隙装置、区分番号M017に掲げるポンティック、区分番号M018に掲げる有 床義歯、区分番号M019に掲げる熱可塑性樹脂有床義歯、区分番号M020に掲げる鋳造鉤、 区分番号M021に掲げる線鉤、区分番号M021-2に掲げるコンビネーション鉤、区分番号M022に掲げるフック、スパー及び区分番号M023に掲げるバーの装着を行う場合は、 前記に掲げる各区分は別に算定できない。なお、算定に当たっては、診療報酬明細書の摘要欄 にその旨を記載する。
- 19 火災等のために試適又は装着する前に消失した歯冠修復物及び欠損補綴物は、算定できない。
- 20 次の場合において、ブリッジ又は小児義歯を適応する場合は、予め理由書、模型、エックス 線フィルム又はその複製を地方厚生(支)局長に提出し、保険適応の有無について判断を求め る。なお、それぞれの取り扱いは、各区分の規定に従う。ただし、イから二まで以外の場合であって、実際の欠損歯を反映した歯式では保険給付外となるブリッジであって、欠損歯の間隙 が1歯分少ないようなブリッジを算定する場合は同様の取り扱いとする。
- イ 区分番号M000-2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の(8)により、「歯冠補綴物又はブリッジ」を保険医療機関において装着した場合において、外傷、腫瘍等(歯周疾 患が原因である場合を除く。)によりやむを得ず当該「歯冠補綴物又はブリッジ」の支台歯、(H28.3.31)隣在歯又は隣在歯及び当該「歯冠補綴物又はブリッジ」の支台歯
当該歯冠補綴物が装着された歯若しくは当該ブリッジが装着された支台歯(H28.3.31)を抜歯しブリッジを装着する場合
- ロ 区分番号M017に掲げるポンティックの(16)により、有床義歯では目的が達せられない か又は誤嚥等の事故を起こす恐れが極めて大きい場合であってブリッジを行う以外に方法がない場合
- ハ 区分番号M017に掲げるポンティックの(19)により、矯正・先天性欠如等により第一 小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯欠損のブリッジにおいて、欠損歯数は3歯であるが、間隙 のほうが1歯分程度小さく2歯分となる場合
- 二 区分番号M018に掲げる有床義歯の(10)により、先天性疾患以外の疾患により後継永 久歯がない場合に準ずる状態であって、小児義歯以外は咀嚼機能の改善・回復が困難な小児 に対して小児義歯を適用する場合
- 21 保険給付外の材料等による歯冠修復及び欠損補綴は保険給付外の治療となるが、この取扱い は、歯及び口腔に対する治療体系が細分化されている歯科治療の特殊性に鑑み、当該治療を患 者が希望した場合に限り、歯冠修復にあっては歯冠形成(支台築造を含む。)以降、欠損補綴にあっては補綴時診断以降を、保険給付外の扱いとする。その際に、当該治療を行った場合は、 診療録に自費診療への移行等や当該部位に係る保険診療が完結している旨が判るように明確に 記載する。なお、「歯科領域における保険給付外等の範囲について」(昭和51年7月29日保文発第352号)は、平成26年3月31日をもって廃止する。
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