通院・在宅精神療法
I002 通院・在宅精神療法(1回につき)
1 通院精神療法
イ 区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日において、地域の精神科 救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている精神保健指定医等が通院精神療法を行った場合 600点
ロ イ以外の場合
(1) 30 分以上の場合 400点
(2) 30 分未満の場合 330点
2 在宅精神療法
イ 区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日において、地域の精神科 救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている精神保健指定医等が在宅精神療法を行った場合 600点
ロ 地域の精神科救急医療体制を確保するために必要な協力等を行っている精神保健指定医等が60分以上の在宅精神療法を行った場合(イに該当する場合を除く。)
540 点
ハ イ及びロ以外の場合
(1) 30 分以上の場合 400点
(2) 30 分未満の場合 330点
注
1 入院中の患者以外の患者について、退院後4週間以内の期間に行われる場合にあっては1と2を合わせて週2回を、その他の場合にあっては1と2を合わせて週1回をそれぞれ限度として算定する。ただし、区分番号B000に掲げる特定疾患療養管理料を算定している患者については算定しない。
2 通院・在宅精神療法は、診療に要した時間が5分を超えたときに限り算定する。ただし、区分番号A000に掲げる初診料を算定する初診の日において通院・在宅精神療法を行った場合は、診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定する。
3 20歳未満の患者に対して通院・在宅精神療法を行った場合(当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から1年以内の期間に行った場合に限る。)は、350点を所定点数に加算する。ただし、注4に規定する加算を算定した場合は、算定 しない。
4 特定機能病院若しくは区分番号A311-4に掲げる児童・思春期精神科入院医療管理料に係る届出を行った保険医療機関又は当該保険医療機関以外の保険医療機関であって別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、通院・在宅精神療法を行った場合は、児童思春期精神科専門管理加算として、次に掲げる区分に従い、いずれかを所定点数に加算する。ただし、ロについては、1回に限り算定する。
イ 16歳未満の患者に通院・在宅精神療法を行った場合(当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から2年以内の期間に行った場合に限る。) 500点
ロ 20歳未満の患者に60分以上の通院・在宅精神療法を行った場合(当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から3月以内の期間に行った場合に限る。) 1,200点
5 1のロの(1)、2のロ及び2のハの(1)については、抗精神病薬を服用している患者について、客観的な指標による当該薬剤の副作用の評価を行った場合は、特定薬剤副作用評価加算として、月1回に限り25点を所定点数に加算する。ただし、区分番号I002-2に掲げる精神科継続外来支援・指導料の注4に規定する加 算を算定する月は、算定しない。
6 当該患者に対して、1回の処方において、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与した場合であって、別に厚生労働大臣が定める要件を満たさない場合、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。
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I002 通院・在宅精神療法
- (1) 通院・在宅精神療法とは、入院中の患者以外の患者であって、統合失調症、躁うつ病、神経症、中毒性精神障害(アルコール依存症等をいう。)、心因反応、児童・思春期精神疾患、パーソナリティ障害、精神症状を伴う脳器質性障害等(以下この項において「対象精神疾患」という。)又は対象精神疾患に伴い、知的障害、認知症、心身症及びてんかんのため社会生活を営むことが著しく困難なもの(患者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては当該患者の家族)に対して、精神科を担当する医師(研修医を除く。)が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。
- (2) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が行った場合に限り算定する。
- (3) 通院・在宅精神療法は、同時に複数の患者又は複数の家族を対象に集団的に行われた場合には算定できない。
- (4) 通院・在宅精神療法は、診療に要した時間が5分を超えたときに限り算定する。ただし、通院・在宅精神療法の「1」及び「2」(ロを除く。)は、区分番号「A000」初診料を算定する初診の日(区分「A000」の初診料の「注5」のただし書に規定する初診を含む。)は、診療に要した時間が30分以上の場合に限り算定することとし、通院・在宅精神療法の「2」(ロに限る。)は、診療に要した時間が60分以上の場合に限り算定する。この場合において診療に要した時間とは、医師自らが患者に対して行う問診、身体診察(視診、聴診、打診及び触診)及び当該通院・在宅精神療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。
- (5) 通院・在宅精神療法を算定するに当たっては、診療録に当該診療に要した時間を記載すること。ただし、当該診療に要した時間が明確でない場合には、当該診療に要した時間が5分、30分又は60分を超えたことが明らかであると判断される精神療法を行った場合に限り、「○分超」などの記載でも差し支えない。また、通院・在宅精神療法の「1」のイ又は「2」のイ、ロを算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。
- (6) 当該患者の家族に対する通院・在宅精神療法は、家族関係が当該疾患の原因又は増悪の原因と推定される場合に限り算定する。ただし、患者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に家族と記載する。
- (7) 通院・在宅精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。
- (8) 患者に対して通院・在宅精神療法を行った日と同一の日に家族に対して通院・在宅精神療法を行った場合における費用は、患者に対する通院・在宅精神療法の費用に含まれ、別に算定できない。
- (9) 入院中の患者以外の対象精神疾患を有する患者に対して、通院・在宅精神療法に併せて区分番号「I004」心身医学療法が算定できる自律訓練法、森田療法等の療法を行った場合であっても、通院・在宅精神療法のみにより算定する。
- (10) 当該患者に対する通院・在宅精神療法を算定した場合は、同じ日に区分番号「I003」標準型精神分析療法は算定できない。
- (11) 通院・在宅精神療法の「1」のイ、「2」のイ、ロは、次のア、イ、ウのいずれか2つの要件を満たす、地域の精神科救急医療体制の確保に協力等を行っている精神保健指定医又はこれに準ずる者(精神保健指定医であった医師及び旧精神衛生法に規定する精神衛生鑑定医であった医師をいう。以下同じ。)に限り算定できる。なお、通院・在宅精神療法の「1」のイ及び「2」のイは、初診時に通院・在宅精神療法を行った場合に限り、初診時にのみ算定できる。なお、この場合においても他の初診時と同様に診療時間が30分以上の場合に限り算定できる。
- ア 精神保健福祉法上の精神保健指定医の公務員としての業務(措置診察等)について、都道府県(政令市の区域を含むものとする。以下本区分番号において同じ。)に積極的に協力し、診察業務等を年1回以上行うこと。
具体的には、都道府県に連絡先等を登録し、都道府県の依頼による公務員としての業務等に参画し、(イ)から(ホ)までのいずれかの診察あるいは業務を年1回以上行うこと。- (イ) 措置入院及び緊急措置入院時の診察
- (ロ) 医療保護入院及び応急入院のための移送時の診察
- (ハ) 精神医療審査会における業務
- (ニ) 精神科病院への立入検査での診察
- (ホ) その他都道府県の依頼による公務員としての業務
- イ 都道府県や医療機関等の要請に応じて、地域の精神科救急医療体制の確保への協力等を行っていること。具体的には、(イ)から(ハ)までの要件を合計して年6回以上行うこと。
- (イ) 時間外、休日又は深夜における救急患者への対応に関し、精神科救急情報センター等の相談員からの問合せに対応すること。具体的には、精神科救急情報センター等の対応体制(オンコール体制を含む。)に協力していること。
- (ロ) 時間外、休日又は深夜における外来対応施設(自治体等の夜間・休日急患センター等や精神科救急医療体制整備事業の常時対応型又は輪番型の外来対応施設等)での外来診療や、救急医療機関への診療協力(外来、当直又は対診)を行うこと。(いずれも精神科医療を必要とする患者の診療を行うこと。)
- (ハ) 所属する医療機関が精神科救急医療体制整備事業に参加し、当該精神保健指定医が当直又はオンコール等に参加していること。
- ウ 標榜時間外において、所属する保険医療機関を継続的に受診している患者に関する電話等の問合せに応じる体制を整備するとともに、必要に応じてあらかじめ連携している保険医療機関に紹介できる体制を有していること。具体的には、(イ)又は(ロ)のいずれかの要件を満たすこと。
- (イ) 区分番号「A001」再診料の時間外対応加算1の届出を行っていること。
- (ロ) 精神科救急情報センター、都道府県、市町村、保健所、警察、消防(救急車)、救命救急センター、一般医療機関等からの患者に関する問合せ等に対し、原則として当該保険医療機関において、常時対応できる体制がとられていること。また、やむを得ない事由により、電話等による問合せに応じることができなかった場合であっても、速やかにコールバックすることができる体制がとられていること。
- ア 精神保健福祉法上の精神保健指定医の公務員としての業務(措置診察等)について、都道府県(政令市の区域を含むものとする。以下本区分番号において同じ。)に積極的に協力し、診察業務等を年1回以上行うこと。
- (12) 通院・在宅精神療法は、精神科を標榜する保険医療機関の精神科を担当する医師が、訪問診療又は往診による診療を行った際にも算定できる。
- (13) 「注3」に規定する加算は、必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者等へ適切な指導を行った上で、20歳未満の患者に対して、通院・在宅精神療法を行った場合(当該保険医療機関の精神科を初めて受診した日から起算して1年以内の期間に行った場合に限る。)に、所定点数に加算する。
- (14) 「注4」に規定する児童思春期精神科専門管理加算は、児童思春期精神科の専門の医師(精神保健指定医に指定されてから5年以上にわたって主に20歳未満の患者に対する精神医療に従事した医師であって、現に精神保健指定医である医師をいう。)又は当該専門の医師の指導の下、精神療法を実施する医師が、20歳未満の患者(イについては16歳未満の患者に限る。)に対し、専門的な精神療法を実施した場合に算定する。
- (15)「注4」のロについては、発達障害や虐待の有無等を含む精神状態の総合的な評価、鑑別診断及び療育方針の検討等が必要な者に対し、発達歴や日常生活の状況の聴取・行動観察等に基づく、60分以上の専門的な精神療法を実施すること。なお、実施に当たっては、以下の要件をいずれも満たすこと。
- ア 発達障害の評価に当たっては、ADI-R(Autism Diagnostic Interview‒Revised)やDISC O(The Diagnostic Interview for Social and Communication Disorders)等で採用されている診断項目を考慮すること。
- イ 患者及び患者の家族に、今後の診療計画について文書及び口頭で説明すること。説明に用いた診療計画の写しを診療録に添付すること。
- (16) 「注5」に定める特定薬剤副作用評価加算は、抗精神病薬を服用中の患者について、精神保健指定医又はこれに準ずる者が、通常行うべき薬剤の副作用の有無等の確認に加え、更に薬原性錐体外路症状評価尺度を用いて定量的かつ客観的に薬原性錐体外路症状の評価を行った上で、薬物療法の治療方針を決定した場合に、月に1回に限り算定する。この際、別紙様式33に準じて評価を行い、その結果と決定した治療方針について、診療録に記載すること。なお、同一月に区分番号「I002-2」精神科継続外来支援・指導料の「注4」に規定する特定薬剤副作用評価加算を算定している患者については、当該加算は算定できない。
- (17) 「注6」に定める別に厚生労働大臣が定める要件は、特掲診療料の施設基準等別表第十の二の四
三(H28.3.31)に掲げるものを全て満たすものをいう。なお、その留意事項は以下のとおりである。- ア 「当該保険医療機関において、3種類以上の抗うつ薬及び3種類以上の抗精神病薬の投与の頻度が一定以下であること」とは、当該保険医療機関において抗うつ薬又は抗精神病薬のいずれかを処方された患者のうち、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を処方された患者の割合が1割未満であるか、その数が20名未満であることをいう。なお、抗うつ薬及び抗精神病薬の種類数は区分番号「F100」処方料における計算方法に準じる。抗うつ薬又は抗精神病薬を処方された患者のうち、3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を処方された患者の割合は、区分番号「F100」処方料(3)ウにより報告したもののうち、直近のものを用いるものとし、平成28年9月までは全ての医療機関が当該要件を満たすものとして扱う。また、平成28年10月以降であっても、向精神薬多剤投与を行っていないために当該報告を行わなかった保険医療機関については、当該要件を満たすものとして扱う。
- イ 「当該患者に対し、適切な説明や医学管理が行われていること」とは、当該月を含む過去3か月以内に以下の全てを行っていることをいう。
- (イ) 患者又はその家族等の患者の看護や相談に当たる者(以下イにおいて「患者等」という。)に対して、当該投与により見込む効果及び特に留意する副作用等について説明し、診療録に説明内容及び患者等の受け止めを記載していること。ただし、説明を行うことが診療上適切でないと考える場合は、診療録にその理由を記載することで代替して差し支えない。
- (ロ) 服薬状況(残薬の状況を含む。)を患者等から聴取し、診療録に記載していること。
- (ハ) 3種類以上の抗精神病薬を投与している場合は、「注5」に掲げる客観的な指標による抗精神病薬の副作用評価を行っていること。
- (ニ) 減薬の可能性について検討し、今後の減薬計画又は減薬計画が立てられない理由を患者等に説明し、診療録に説明内容及び患者等の受け止めを記載していること。
- ウ 「当該処方が臨時の投薬等のもの又は患者の病状等によりやむを得ないものであること」とは、区分番号「F100」処方料(3)のアの(イ)から(ニ)までのいずれかに該当するものであることをいう。ただし、平成28年9月までは、当該保険医療機関において精神科を担当する、臨床経験を5年以上有する医師が患者の病状等によりやむを得ず投与を行う必要があると認めた場合も当該要件を満たすものとして扱う。