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整形外科における間違いやすい算定とは?【ギプス編】

ギプス

前回の「整形外科における間違いやすい算定とは?」では「慢性疼痛管理料」の間違った認識や、「関節穿刺」についてご紹介しました。今回は新たに、整形外科では毎日のように行われる、処置でもある、ギプスやギプスシーネ等についての間違った認識、算定の間違いについてご紹介していきます。

1.ギプスシーネや、シャーレ、ギプスについての誤った認識

四肢ギプスシーネや四肢ギプス包帯を算定する場合に、間違った認識をしていませんか?
例えば、整形外科の代表的な骨折として、手関節の「橈骨遠位端骨折」や「尺骨遠位端骨折」があります。

本来であればこの骨折は、手~前腕までのギプスシーネやギプス骨折が代表的ですが、転位しやすい骨折の場合、手~上腕までの固定をする場合も多いです。この際に、手関節の骨折だからといって、四肢ギプスシーネ半肢(片側)や、四肢ギプス包帯半肢(片側)で算定していませんか?
それでは点数が大きく違ってしまいます。四肢ギプス包帯を例にすると、半肢(片側)だと780点、上肢、下肢(片側)だと1200点です。この差は420点もあります。

手関節の骨折だからといって、四肢ギプス包帯半肢(片側)の780点でしか算定できないわけではありません。もちろん、上肢、下肢(片側)で算定しても良いのです。

使用した材料量は、きちんと算定しましょう。もしこれでも不安な場合には「骨折部位の転位が大きく、極度の安静が必要な為、上肢、下肢にて固定を施行しました」等のコメントを入れても良いと思いますが、大抵の場合コメントは必要ないでしょう。

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2.ギプス除去料の算定の誤った認識

こちらも、ギプスに関しての誤った認識です。他院からの紹介などで、ギプスをした患者さんが来た場合や、または自院で装着した場合のギプスを除去する場合に等において、誤った認識をしている場合があります。

通常、自院でギプスを装着しカットした場合の流れは、ギプス包帯装着→ギプスカット→ギプスシャーレ装着になっているかと思います。このとき、自院でギプス装着したギプスをカットしてギプスシャーレを装着したからといって、「ギプス除去料」は算定できません。

記載では、「既装着のギプス包帯を切割して、ギプスシャーレ又はギプスシーネとして再使用したときは、ギプス所定点数の2割が算定できる」と書かれています。算定項目にギプス除去料という項目があるので、少し紛らわしいかもしれませんが、自院でギプスを作成しそのギプスをカットした場合でも、「ギプス除去料」を誤って算定しないようにしましょう。

次に、他院で装着したギプスを自院で除去する場合です。この場合は逆に、ギプスシャーレは算定できません。他院からの紹介等で、初診で来院された患者さんのレセプトに、ギプスシャーレのみが算定されていたら、おかしくはありませんか? 見ている人はいったいなぜ? という疑問しかないレセプトになってしまいますよね。

ギプスシャーレはあくまでも、自院で行った既装着のギプスを切割した場合に算定できる項目です。他院から装着してきたギプスをカットする場合には、「ギプス除去料」の算定、さらに新たに巻きなおす場合には、四肢ギプス包帯で算定しましょう。

また、ギプス除去料を算定する際にはコメントで「他院よりギプス装着し来院されたため、当院で除去を行いました」等のコメントを入れると、見ている人がより見やすく、理解しやすいレセプトになると思いますよ。

いかがでしたか?ギプス包帯や、ギプスシーネ等は整形外科の分野では、毎日のように行われている算定だと思います。しかし、半肢や上肢、下肢を間違ってしまったり、ギプス除去料の認識が甘かったりすると、査定、減点されたり、低い点数で算定してしまったりと、とても勿体ないレセプトになってしまいます。

これを解決するには、事務員でも診察の中で行われている処置の様子や流れを想像したり、機会があったらどのような処置が行われているか見に行ってもいいと思います。そうすることで、自分の中で理解しやすくなり、算定ミスも減らすことができると思いますよ。

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眠り姫の医療事務員

執筆者 

30代、女性、医療事務歴約10年、地方にある整形外科診療所に勤務している二児の女の子のママ。仕事の時はテキパキと、プライベートでは子供と一緒によく眠るのんびり屋です。