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Ⅰ 充実が求められる分野を適切に評価していく視点

Ⅰ-1 緩和ケアを含むがん医療の推進について

  • (1) がん患者に対する精神的なケアや抗がん剤の副作用管理等の重要性が増してきていることを踏まえて、がん患者の継続的な管理指導に対する評価を新設する。
  • (2) 外来化学療法加算について、加算の対象となる投与方法の拡大等に伴い、入院で行う必要のない化学療法を外来で実施するための体制に対する評価という本来の趣旨が不明瞭になりつつあること、対象薬剤が不明確との指摘があること、一部の薬剤が在宅自己注射指導管理料の対象薬剤にも含まれていること等を踏まえて、評価のあり方について見直しを行う。
  • (3) 在宅自己注射指導管理料について、実態を踏まえて評価の見直しを行う。(重1-3(10) 再掲)

Ⅰ-2 精神疾患に対する医療の推進について

  • (1) 精神病床の機能分化を推進する観点から、以下のような見直しを行う。
    • ① 精神科急性期治療病棟入院料について、密度の高い医療を提供し、平均在院日数の短縮を図る観点から、医師を重点的に配置した場合の評価を新設する。
    • ② 急性期の精神疾患患者に対するチーム医療を推進し、早期退院を促すため、統合失調症及び気分障害の患者に対して、計画に基づいて医療を提供した場合の評価を新設する。
    • ③ 精神療養病棟入院料において入院患者の病態が比較的安定していること、精神保健指定医の判断を必要とする隔離・身体拘束等が少ないこと等を踏まえて、精神保健指定医の配置基準等について見直しを行う。
    • ④ 精神療養病棟入院料及び精神病棟入院基本料について、平均在院日数の短縮を図る観点から、精神保健福祉士を配置した場合の評価を新設する。
    • ⑤ 精神科救急入院料等について、措置入院、緊急措置入院及び応急入院が全体として減少している現状を踏まえて、これらの実績要件等を見直す。
  • (2) 精神疾患をもつ患者の地域移行と地域定着を推進する観点から、以下のような見直しを行う。
    • ① 長期入院後や入退院を繰り返す病状が不安定な患者の地域移行を推進する観点から、24 時間体制の多職種チームによる在宅医療について評価を新設する。
    • ② 在宅で行われる通院・在宅精神療法について、精神科の在宅医療の診療時間が長いことを踏まえて、長時間診療の評価を新設する。
    • ③ 精神科デイ・ケア等を1 年以上利用している患者は、手段的日常生活動作(IADL)がほぼ横ばいとなっていることから、長期間にわたり精神科デイ・ケア等を提供している場合の評価を見直す。
  • (3) 身体疾患を合併する精神疾患患者への適切な医療を推進する観点から、以下のような見直しを行う。
    • ① 精神科救急・合併症入院料について、精神科単科病院から受け入れた患者等についても算定できるよう見直しを行う。また、手術等により一時期ICU 等で治療を受けた後に再入棟した場合についても算定できるよう見直しを行う。
    • ② 精神疾患以外で医療機関を受診していた小児患者が、精神疾患を発症し、当該医療機関の精神科を受診した場合も、通院・在宅精神療法の20 歳未満加算を算定できるよう見直しを行う。
    • ③ 精神病床に入院する患者の身体合併症に適切に対応するため、精神科身体合併症管理加算の評価のあり方について検討を行う。
  • (4) 適切な向精神薬の投薬を推進する観点から、通院・在宅精神療法等について、向精神薬を多剤処方した場合について適正化を行う。
  • (5) 通院・在宅精神療法の20 歳未満加算、心身医学療法の20 歳未満加算の評価において、児童・思春期の精神疾患患者に適切な医療を提供するため、必要に応じて児童相談所等と連携し、保護者も含めた適切な指導等を行うことについて検討を行う。

Ⅰ-3 認知症への対策の推進について

  • (1) 重度認知症加算について、認知症の行動・心理症状(BPSD)の改善に要する期間が概ね1か月であることを踏まえて、評価の見直しを行う。
  • (2) 認知症治療病棟入院料等において、患者の早期回復を図るため、精神症状や行動異常の改善を目的とした、短期の集中的な認知症リハビリテーションの評価を新設する。

Ⅰ-4 救急医療、小児医療、周産期医療の推進について

  • (1) 救急医療について、評価対象の明確化等を行うとともに、精神疾患を合併する救急患者等の受入の推進を図る。
    • ① 救急医療管理加算の算定基準が明確でない点があることを踏まえ、適正化の観点から評価の見直しを行う。
    • ② 救命救急入院料における急性薬毒物中毒患者の評価について、基準が不明確であることから評価を見直すとともに、算定可能な施設の対象を拡大する。
    • ③ 精神疾患を有する患者や急性薬毒物中毒患者について、搬送先医療機関の決定に時間がかかることを踏まえて、受入を促進するための見直しを行う。
    • ④ 入院が必要となるような急変時の対応を充実させる観点から、在宅医療を担う医療機関と連携し、緊急時に常時対応し、必要があれば入院を受け入れることができる体制をとっていること等の基準を満たす病院について評価を行うとともに、そのような病院が在宅医療を担う医療機関と共同して患者の診察を行う場合等の評価を新設する。(重1-3(3) 再掲)
  • (2) 在宅医療を含む小児医療を推進する観点から、以下のような見直しを行う。
    • ① 人工呼吸器を装着している小児等の在宅療養で算定する在宅療養指導管理料について、在宅療養を担う医療機関と後方支援等を担う医療機関で異なる管理を行う場合、それぞれで算定できるよう見直しを行う。(重1-3(11) 再掲)
    • ② 小児科外来診療料について高額な薬剤を用いた場合の評価のあり方等について見直しを行う。
  • (3) 小児特定集中治療室管理料における評価のあり方について、実態を踏まえ
    て、必要な見直しを行う。(重1-1-1(4) 再掲)
  • (4) 新生児医療について適切な評価を行う観点から、以下のような見直しを行う。
    • ① 出生体重が1,500g 以上の新生児であっても、一部の先天奇形等を有する患者について、新生児特定集中治療室管理料等の算定日数上限の見直しを行う。(重1-1-1(3)① 再掲)
    • ② 新生児特定集中治療室管理料1 等の施設基準について、出生体重1,000g未満の患者の診療実績等の基準を新設する。また、新生児特定集中治療室管理料2 についても、出生体重2,500g 未満の患者の診療実績に関する基準を新設するとともに評価の見直しを行う。(重1-1-1(3)② 再掲)
  • (5) NICU に長期入院している児もいることから、NICU をもつ医療機関から後方病床や在宅での療養に円滑に移行できるよう、以下のような見直しを行う。
    • ① 新生児特定集中治療室退院調整加算について、入院早期から退院調整を開始すること等、評価の見直しを行う。
    • ② 周産期医療センター等と連携して、NICU に入院していた児の転院を受け入れる医療機関について、自宅への退院に向けた調整を行った場合の評価を新設する。

Ⅰ-5 リハビリテーションの推進について

  • (1) リハビリテーションの早期からの実施による入院中のADL 低下の防止や、リハビリテーションを提供している患者の入院から外来への円滑な移行を推進するため、以下のような見直しを行う。
    • ① 急性期病棟に入院している患者について、ADL の低下が一部にみられることから、病棟におけるリハビリテーションスタッフの配置等についての評価を新設する。
    • ② 疾患別リハビリテーションの初期加算等について、外来への早期移行を推進する観点から、一部の疾患について評価のあり方を見直す。
    • ③ 運動器リハビリテーション料Ⅰについて、外来への早期移行を推進する観点から、評価のあり方について見直しを行う。
  • (2) 廃用症候群に対するリハビリテーションにおける対象患者の明確化や評価の適正化等を含め、疾患別リハビリテーション等の適切な評価を行うために必要な見直しを検討する。
  • (3) 回復期リハビリテーション病棟について、患者の早期の機能回復、早期退院を一層推進するため、以下のような見直しを行う。
    • ① 回復期リハビリテーション病棟入院料1 を算定する病棟において、専従医師及び専従社会福祉士を配置した場合の評価を新設する。(重1-1-3(2)① 再掲)
    • ② 回復期リハビリテーション病棟入院料1 の休日リハビリテーション提供体制加算について、休日も充実したリハビリテーションを提供する観点から、入院料に包括して評価を行う。(重1-1-3(2)② 再掲)
    • ③ 回復期リハビリテーション病棟入院料1 について、重症度・看護必要度の項目等の見直しを踏まえて、評価のあり方を見直す。(重1-1-3(2)③ 再掲)
    • ④ 患者に適したリハビリテーションを実施するため、患者の自宅等を訪問し、退院後の住環境等を踏まえた上で、リハビリテーション総合実施計画を作成した場合の評価を新設する。(重1-1-3(2)④ 再掲)
  • (4) 要介護被保険者等に対する維持期の運動器、脳血管疾患等リハビリテーションについて、医療と介護の役割分担の観点から、以下のような見直しを行う。
    • ① 要介護被保険者等に対する維持期の運動器、脳血管疾患等リハビリテーションについては、介護サービスにおけるリハビリテーションへのさらなる移行を推進する必要があることから、評価の適正化を行った上で、経過措置を原則として次回改定までに限り延長する。なお、次回改定時においても、介護サービスにおけるリハビリテーションの充実状況等を引き続き確認する。 (重1-4(4)① 再掲)
    • ② 維持期の運動器、脳血管疾患等リハビリテーションを受けている入院患者以外の要介護被保険者等について、医療保険から介護保険への移行を促進させるため、居宅介護支援事業所の介護支援専門員等との連携により、医療保険から介護保険のリハビリテーションに移行した場合の評価を行う。(重1-4(4)② 再掲)

Ⅰ-6 歯科医療の推進について

  • (1) 全身的な疾患を有し、著しく歯科診療が困難な者に対する歯科医療の充実を図る観点から、歯科診療特別対応連携加算の施設基準を見直す。
  • (2) 各ライフステージの口腔機能の変化に着目して、以下の対応を行う。
    • ① 小児期において、正常な口腔機能の獲得・成長を促すために、第一乳臼歯の早期喪失症例に対する小児保隙装置を評価するとともに、外傷による歯の欠損症例に対する小児義歯を評価する。
    • ② 成人期において、口腔機能の維持・向上を図るために、舌接触補助床等の床装置を用いた訓練を評価するとともに、歯周治療用装置については、歯周外科手術が前提となっている要件の見直しを行う。
    • ③ その他、有床義歯の評価については、評価体系の簡素化や評価の位置づけの見直しを行うとともに、口腔機能の管理等に係る文書提供等については患者の視点と事務負担を考慮して適切に対応を行う。
  • (3) 歯の喪失のリスク増加に着目して、以下の対応を行う。
    • ① 歯周病の病状安定後の包括評価である歯周病安定期治療の評価体系を一口腔単位から歯数単位に見直す。
    • ② 根面う蝕については、自立度が低下した在宅等で療養を行っている者の初期根面う蝕に対するフッ化物歯面塗布の評価を行う。
    • ③ 根管治療については、治療の実態に合わせて適正に評価を行う。その他、口腔機能の維持・向上に資する技術については、医療技術評価分科会等の検討を踏まえつつ、適切な評価を行う。
  • (4) 在宅歯科医療を推進する観点から、在宅を中心に訪問歯科診療を実施している歯科診療所の評価を行う。(重1-3(12) 再掲)
  • (5) 在宅歯科医療を推進する上で、歯科医療機関と医科医療機関との連携が重要であることから、在支診又は在支病の医師の訪問診療に基づく、訪問歯科診療が必要な患者に対する在宅療養支援歯科診療所への情報提供を評価する。(重1-3(13) 再掲)

Ⅰ-7 的確な投薬管理・指導の推進について

  • (1) 相応の体制整備が必要となることから、在宅業務に十分に対応している薬局の評価を行う。また、地域の薬局との連携を図りつつ、当該薬局自らの対応を原則とし、24 時間調剤及び在宅業務を提供できる体制等を考慮して、基準調剤加算の算定要件を見直す。(重1-3(15)① 再掲)
  • (2) チーム医療の一つとして、薬剤師による一層の在宅患者訪問薬剤管理指導が求められていることを踏まえて、診療報酬と調剤報酬の在宅患者訪問薬剤管理指導の算定要件を揃える。(重1-3(17) 再掲)
  • (3)お薬手帳を必ずしも必要としない患者に対する薬剤服用歴管理指導料の評価を見直す。
  • (4) 薬剤服用歴管理指導料について、服薬状況並びに残薬状況の確認及び後発医薬品の使用に関する患者の意向の確認のタイミングを、調剤を行う前とするよう見直す。

Ⅰ-8 手術等の医療技術の適切な評価

我が国の医療水準は国際的にみても高い状況にあり、引き続き、質の高い医療が継続的に提供される体制を確保するためにも、外科的な手術、専門性の高い医学的な管理などの医療技術について、難易度や専門性に応じた適切な評価を行う必要がある。

  • (1) 現状に即した外科的手術の適正な評価を行うため、最新の外保連試案の評価を参考に、診療報酬における手術の相対的な評価をより精緻化する。
  • (2) 医療技術評価分科会における検討結果等を踏まえて、医療技術の評価及び再評価を行い、優先的に保険導入すべきとされた新規技術の保険導入及び既存技術の診療報酬上の評価の見直しを行う。
  • (3) 先進医療会議における検討結果を踏まえて、先進医療として実施している医療技術について検討等を行い、優先的に保険導入すべきとされた医療技術の保険導入を行う。
  • (4) 胃瘻造設術の評価を見直すとともに、胃瘻造設時の適切な嚥下機能検査に係る評価の新設、高い割合で経口摂取可能な状態に回復させている場合の摂食機能療法の評価の充実等を行う。

Ⅰ-9 医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションの適切な評価について

  • (1) 薬価専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「平成26 年度薬価制度改革の骨子」及び保険医療材料専門部会の議論を踏まえて取りまとめられた「平成26 年度保険医療材料制度改革の骨子」を参照のこと。
  • (2) 新たに区分C2(新機能・新技術)又はE3(新項目)として保険適用された医療機器や検体検査に伴う技術料を適切に設定し、評価するとともに、その他の医療機器や医薬品に係る管理料等についても、診療上の使用実態を踏まえて適切な評価を行う。
  • (3) 技術革新等により臨床的意義、利便性の向上等を伴う体外診断用医薬品について保険適用を行う際の申請区分を見直し、適切な評価を行う。

Ⅰ-10 DPC に基づく急性期医療の適切な評価について

DPC/PDPS(急性期入院医療の診断群分類に基づく定額報酬算定制度)について以下のような見直しを行う。

  • (1) 調整係数については、今回を含め、3 回の診療報酬改定において段階的に基礎係数(包括範囲・平均出来高点数に相当)と機能評価係数Ⅱに置換えることとされており、平成26 年度改定においても、調整部分の50%を機能評価係数Ⅱに置き換える等、必要な措置を講じる。
  • (2) 機能評価係数Ⅰ・Ⅱについて、以下のような見直しを行う。
    ① 機能評価係数Ⅰ
    出来高評価体系における「当該医療機関の入院患者全員に対して算定される加算」、「入院基本料の補正値」等を機能評価係数Ⅰとして評価する。
    ② 機能評価係数Ⅱ
    現行の機能評価係数Ⅱの6 項目(データ提出指数、効率性指数、複雑性指数、カバー率指数、救急医療指数、地域医療指数)に加え、後発医薬品の使用割合による評価方法である「後発医薬品指数」を導入する。
    また、現行の6 項目についても、必要な見直しを行う。
  • (3) その他
    • ① 3 日以内に再入院した際に一連の入院と見なすルール、持参薬の取り扱い等、現行のDPC/PDPS の算定ルール等に係る課題について必要な見直しを行う。
    • ② DPC 導入の影響評価に係る調査(退院患者調査)については、DPC 対象病院において外来診療に係るデータの提出を必須とする等、必要な見直しを行う。

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