第1節 処置料
(歯牙疾患の処置)
I000 う蝕処置(1歯1回につき) 18点
注 貼薬、仮封及び特定薬剤の費用並びに特定保険医療材料料は、所定点数に含まれるものとする。
I000 う蝕処置
- う蝕処置の費用は、1歯1回を単位として算定し、1回の処置歯数が2歯以上にわたる場合は、所定点数を歯数倍した点数により算定する。以下「1歯1回につき」等の規定のある場合の算定は、処置を行った歯数倍を乗じて算定する。
- 「う蝕処置」は、次の処置をいう。
- う蝕歯の歯冠部に行った軟化象牙質の除去又は暫間充填
- 歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、根尖部の閉鎖状態の予後観察のために行った水酸化カルシウム系糊剤等による暫間根管充填に併せて行った暫間充填
- 歯髄保護処置又は歯冠修復物の脱落時の再装着等を行うにあたって軟化象牙質等の除去又は燐酸セメント若しくはカルボキシレートセメント等を用いた暫間充填
- 抜歯禁忌症で義歯製作の必要上、やむを得ず残根歯の削合のみを行う場合は、歯数に応じて算定する。ただし、根管治療により根の保存可能な歯には適切に保存処置を行い、鋳造歯冠修復により根面を被覆した場合には、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のA.単純なもの」の所定点数を、鋳造歯冠修復の費用については区分番号M010に掲げる鋳造歯冠修復の「1のA.単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。また、歯科充填用材料Ⅰにより根面を被覆した場合には、歯冠形成の費用については区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のA.単純なもの」の所定点数を、充填の費用については区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。
- う蝕処置、区分番号M001に掲げる歯冠形成、区分番号M001-2に掲げるう蝕歯即時充填形成及び区分番号M001-3に掲げるう蝕歯インレー修復形成等において、軟化象牙質の検査を行った場合の費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。
- う蝕処置を算定する場合においては、算定部位ごとに、使用した保険医療材料名及び処置内容等を診療録に記載すること。
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I000-2 咬合調整
- 1歯以上10歯未満…40点
- 10歯以上…60点
I000-2 咬合調整
- 歯周炎又は歯ぎしりの処置のために、歯の削合を行った場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。
- 過重圧を受ける歯牙の切縁、咬頭の過高部又は別の歯科の保険医療機関において製作された鋳造歯冠修復物等の過高部の削除を行った場合は、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のいずれかにより算定する。
- 咬合緊密である患者の義歯を製作するに当たり、鉤歯と鉤歯の対合歯をレスト製作のために削除した場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。
- 歯周組織に咬合性外傷を起こしているとき、過高部の削除に止まらず、食物の流れを改善し歯周組織への為害作用を極力阻止するため歯冠形態の修正を行った場合、又は舌、頬粘膜の咬傷を起こすような場合に、歯冠形態修正(単なる歯牙削合を除く。)を行った場合は、同一初診期間中、「1 1歯以上10歯未満」又は「2 10歯以上」のうち、いずれか1回に限り算定する。なお、歯冠形態の修正を行った場合は診療録に、歯冠形態の修正理由、歯冠形態の修正箇所等を記載すること。
- 歯髄切断、抜髄、感染根管処置等の一連の歯内治療及び抜歯手術に伴って、患歯の安静を目的として行う歯の削合に係る費用は、区分番号I004に掲げる歯髄切断、区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J000に掲げる抜歯手術等の所定点数に含まれ別に算定できない。
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I001 歯髄保護処置(1歯につき)
- 歯髄温存療法…150点
- 直接歯髄保護処置…120点
- 間接歯髄保護処置…25点
- 歯髄温存療法を行った場合の経過観察中の区分番号I000に掲げるう蝕処置の費用は、所定点数に含まれるものとする。
- 特定薬剤及び特定保険医療材料の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I001 歯髄保護処置
- 歯髄保護処置(歯髄覆罩)とは、歯髄温存療法(非侵襲性歯髄覆罩)、直接歯髄保護処置(直接歯髄覆罩)及び間接歯髄保護処置(間接歯髄覆罩)をいう。
- う窩の処置としての象牙質の削除を行うとともに、歯髄保護処置を行い暫間充填を行った場合は、う蝕処置と歯髄保護処置の所定点数をそれぞれ算定する。
ただし、区分番号M001-2に掲げるう蝕歯即時充填形成、区分番号M001-3に掲げるう蝕歯インレー修復形成又は区分番号I004に掲げる歯髄切断を行った場合は歯髄保護処置の点数は算定できない。
- 同一歯牙に2箇所以上、例えば近心と遠心とにう窩が存在する場合に、それぞれの窩洞に歯髄保護処置を行った場合には、同日又は日を異にして行った場合であっても、1歯1回に限り所定点数を算定する。
- 歯髄温存療法とは、臨床的に健康な歯髄又は可逆性歯髄炎であって、感染象牙質を全て除去すれば、露髄を招き抜髄に至る可能性のある深在性のう蝕を対象とするものであり、感染象牙質を残し、そこに水酸化カルシウム製剤などを貼付し、感染部の治癒を図るものであり、3月以上の期間を要するものである。本区分は、3月以上の期間内に2回程度の薬剤の貼付を行うことを含め、当該処置に係る一連の行為を包括的に評価するものであり、当該処置を行った最初の日に算定するものとする。
- 歯髄温存療法を行った場合は、3月以上の経過観察期間を行った後に、歯冠修復等を実施する。なお、当該処置を行った場合は、処置内容及び経過観察期間等に係る事項について患者に対して説明するとともに、その要点を診療録に記載する。
- 直接歯髄保護処置を行った場合は、1月以上の経過観察を行った後に歯冠修復等を実施する。なお、当該処置を行った場合は、処置内容及び経過観察期間等に係る事項について患者に対して説明するとともに、その要点について診療録に記載する。
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I002 知覚過敏処置(1口腔1回につき)
- 3歯まで…40点
- 4歯以上…50点
注 特定薬剤の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I002 知覚過敏処置
- イオン導入法の費用は、知覚過敏処置の所定点数に含まれ別に算定できない。
- 歯冠形成後、知覚過敏が生じた有髄歯に対する知覚鈍麻剤の塗布については、歯冠形成、印象採得、咬合採得、仮着及び装着と同時に行う場合を除き「1 3歯まで」又は「2 4歯以上」の所定点数により算定する。
- 次のレーザー治療器を用いて、知覚過敏症の処置を行った場合は、知覚過敏処置の所定点数により算定する。
- セミレーザー・ナノックス
- セミコンレーザMR-180
- ヘリウム・ネオン・レーザー
- ベルビーム
- ソフトレーザー632
- オサダダイオトロン(DL-S)
- トリンプル-D
- コンパクトレーザー
- PANALAS500
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I002-2 乳幼児う蝕薬物塗布処置(1口腔1回につき)
- 3歯まで…40点
- 4歯以上…50点
注 特定薬剤の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I002-2 乳幼児う蝕薬物塗布処置
乳幼児のう蝕に対して、軟化象牙質等を除去して充填等を行わず、フッ化ジアンミン銀の塗布を行った場合は、1口腔1回につき歯数に応じて「1 3歯まで」又は「2 4歯以上」により算定する。
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I003 初期う蝕小窩裂溝填塞処置 120点
注 小窩裂溝の清掃、歯面の前処理及び填塞の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I003 初期う蝕小窩裂溝填塞処置
- 初期う蝕小窩裂溝填塞処置は、原則として幼若永久歯又は乳歯の小窩裂溝の初期う蝕に対して行った場合に算定する。この場合、初期う蝕に罹患している小窩裂溝に対する清掃等を行った場合の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
- 初期う蝕小窩裂溝填塞処置に要する特定保険医療材料料は、区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の場合と同様とする。
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I004 歯髄切断(1歯につき)
- 生活歯髄切断…230点
- 失活歯髄切断…70点
- 永久歯の歯根完成期以前及び乳歯の歯髄につき、1の生活歯髄切断を行った場合は、所定点数に40点を加算する。
- 歯髄保護処置の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I004 歯髄切断
- 生活歯髄切断のために用いた表面麻酔、浸潤麻酔、簡単な伝達麻酔、特定薬剤、歯髄保護処置の費用は、生活歯髄切断の所定点数に含まれ別に算定できない。
- 生活歯髄切断後に歯冠形成を行った場合は、区分番号M001に掲げる歯冠形成の「1 生活歯歯冠形成」の各号により算定する。
- 同一歯牙について、区分番号I005に掲げる抜髄を併せて行った場合は、区分番号I005に掲げる抜髄の所定点数に当該歯髄切断の費用は含まれ別に算定できない。
- 歯髄切断の後に抜髄となった場合は、区分番号I005に掲げる抜髄の所定点数のみにより算定する。
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I005 抜髄(1歯につき)
- 単根管…220点
- 2根管…406点
- 3根管以上…570点
- 区分番号I001の1に掲げる歯髄温存療法を行った日から起算して3月以内の期間に当該処置を行った場合は、その区分に従い、70点、256点又は420点を算定する。
- 区分番号I001の2に掲げる直接歯髄保護処置を行った日から起算して1月以内に当該処置を行った場合は、その区分に従い、100点、286点又は450点を算定する。
- 麻酔及び特定薬剤の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I005 抜髄
- 抜髄は1歯につき1回に限り算定する。
- 抜髄は、歯髄炎等の場合に通常局所麻酔下において歯髄の除去を行った場合又は薬剤を用いて歯髄を壊死させ除去(失活抜髄)を行った場合に算定する。なお、麻酔、薬剤の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。
- 抜髄の費用は、抜髄を行った歯について、抜髄が完了した日において算定する。この場合、失活抜髄の貼薬及び薬剤の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。
- 区分番号I001に掲げる歯髄保護処置の「1 歯髄温存療法」を行った場合は、3月以上の経過観察を行うものであるが、やむを得ず経過観察中に抜髄を実施した場合は、「注1」に掲げる所定点数により算定する。
- 区分番号I001に掲げる歯髄保護処置の「2 直接歯髄保護処置」を行った場合は、1月以上の経過観察を行うものであるが、やむを得ず早期に抜髄を実施した場合は、「注2」に掲げる所定点数により算定する。
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I006 感染根管処置(1歯につき)
- 単根管…130点
- 2根管…276点
- 3根管以上…410点
注 特定薬剤の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I006 感染根管処置
- 感染根管処置とは、歯根膜炎等の場合に根管内容物の除去、根管清掃拡大等を行うことをいう。
- 抜歯を前提として急性症状の消退を図ることを目的とした根管拡大等は、根管数にかかわらず1歯につき1回に限り、「1 単根管」により算定する。なお、抜歯を前提とした根管拡大等に併せて行った消炎のための根管貼薬の費用は、所定点数に含まれ別に算定できない。
- 感染根管処置を行うに当たり、根管側壁、髄室側壁又は髄床底に穿孔があり、封鎖を行った場合は、区分番号M009に掲げる充填の「1 単純なもの」の所定点数と保険医療材料料をそれぞれ算定する。なお、形成を行った場合は区分番号M001に掲げる歯冠形成の「3のA.単純なもの」の所定点数により算定する。また、歯肉を剥離して行った場合は区分番号J006に掲げる歯槽骨整形手術、骨瘤除去手術の所定点数及び保険医療材料料をそれぞれ算定する。
- 感染根管処置は1歯につき1回に限り算定する。
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I007 根管貼薬処置(1歯1回につき)
- 単根管…20点
- 2根管…22点
- 3根管以上…30点
注 特定薬剤の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I007 根管貼薬処置
- 根管貼薬処置とは、根管の清拭、根管貼薬等をいう。
- 区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号I008に掲げる根管充填と同時に行った根管貼薬の費用は、それぞれの所定点数に含まれ別に算定できない。
- 抜歯を前提とした消炎のための根管拡大後の根管貼薬は、根管数にかかわらず1歯につき1回に限り、「1 単根管」により算定する。
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I008 根管充填(1歯につき)
- 単根管…68点
- 2根管…90点
- 3根管以上…110点
- 加圧根管充填を行った場合は、単根管、2根管又は3根管以上の所定点数に、118点、140点又は164点をそれぞれ加算する。ただし、区分番号M000-2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料に係る地方厚生局長等への届出を行った保険医療機関以外の保険医療機関において行われる場合は、この限りでない。
- 特定薬剤の費用は、所定点数に含まれるものとする。
I008 根管充填
- 根管充填は1歯につき1回に限り算定する。
- 「注1」の加圧根管充填とは、アピカルシート又はステップの形成及び根管壁の滑沢化(根管形成)が行われた根管に対して、ガッタパーチャポイントを主体として根尖孔外に根管充填材を溢出させずに加圧しながら気密に根管充填を行うことをいう。なお、根管充填後に歯科エックス線撮影で気密な根管充填が行われていることを確認した場合に算定する。
- 歯根未完成の永久歯の歯内療法実施中に、数月間根尖部の閉鎖状態の予後観察を行うために、水酸化カルシウム系糊剤等により暫間的根管充填を行う場合は、1回に限り「1 単根管」、「2 2根管」又は「3 3根管以上」の所定点数により算定する。
ただし、「注1」の加圧根管充填に係る加算の算定はできない。なお、併せて当該歯に暫間充填を行った場合の費用は区分番号I000に掲げるう蝕処置により算定する。
- 区分番号M000-2に掲げるクラウン・ブリッジ維持管理料の「注1」に係る地方厚生(支)局長への届出を行っていない保険医療機関において、根管充填を行った場合は、「注1」の加圧根管充填に係る費用は算定できない。
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