歯科点数表→第2章特掲診療料→第9部手術

第9部 手術

通則

  1. 手術の費用は、第1節若しくは第2節の各区分の所定点数のみにより、又は第1節及び第2節の各区分の所定点数を合算した点数により算定する。
  2. 手術に当たって、第3節に掲げる医療機器等、薬剤(別に厚生労働大臣が定めるものを除く。)又は別に厚生労働大臣が定める保険医療材料(以下この部において「特定保険医療材料」という。)を使用した場合(別に厚生労働大臣が定める薬剤(以下この部において「特定薬剤」という。)にあっては、120点以上の手術又は特に規定する手術に使用した場合を除く。)は、前号により算定した点数及び第3節から第6節までの所定点数を合算した点数により算定する。
  3. 第1節に掲げられていない手術であって特殊な手術の費用は、同節に掲げられている手術のうちで最も近似する手術の各区分の所定点数により算定する。
  4. 区分番号J018J032J039J060J069J070-2J076J096及びJ104-2(注に規定する加算を算定する場合に限る。)に掲げる手術については、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行われる場合に限り算定する。
  5. 6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対して手術を行った場合は、全身麻酔下で行った場合を除き、当該手術の所定点数に所定点数の100分の50に相当する点数を加算する。ただし、区分番号J100-2の注1に規定する加算又は通則第14号に掲げる加算を算定する場合は、この限りでない。
  6. 全身麻酔下で極低出生体重児、新生児又は3歳未満の乳幼児(極低出生体重児及び新生児を除く。)に対して手術を行った場合は、当該手術の所定点数にそれぞれ所定点数の100分の400、100分の300又は100分の100に相当する点数を加算する。
  7. 区分番号J016J018J021の2、J031J032J035J039の2及び3、J042J057並びにJ060に掲げる手術については、頸部郭清術と併せて行った場合は、所定点数に片側の場合は4,000点を、両側の場合は6,000点を加算する。
  8. HIV抗体陽性の患者に対して、入院を必要とする観血的手術を行った場合は、当該手術の所定点数に4,000点を加算する。
  9. 入院中の患者以外の患者に対し、緊急のために、休日に手術を行った場合又はその開始時間が保険医療機関の表示する診療時間以外の時間若しくは深夜である手術を行った場合であって、当該手術の所定点数が150点以上のとき、当該手術の費用は、それぞれ所定点数の100分の80又は100分の40若しくは100分の80に相当する点数を加算した点数により算定する。また、入院中の患者に対し、緊急のために、休日に手術を行った場合又はその開始時間が深夜である手術を行った場合であって、当該手術の所定点数が150点以上のとき、当該手術の費用は、それぞれ所定点数の100分の80に相当する点数を加算した点数により算定する。ただし、区分番号A000に掲げる初診料の注7ただし書に規定する保険医療機関にあっては、入院中の患者以外の患者に対し、その開始時間が同注のただし書に規定する時間である手術を行った場合は、所定点数の100分の40に相当する点数を加算する。
  10. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症患者(感染症法の規定に基づき都道府県知事に対して医師の届出が義務づけられるものに限る。)、B型肝炎感染患者(HBs又はHBe抗原陽性の者に限る。)若しくはC型肝炎感染患者又は結核患者に対して、医科点数表の区分番号L008に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔、医科点数表の区分番号L002に掲げる硬膜外麻酔又は医科点数表の区分番号L004に掲げる脊椎麻酔を伴う手術を行った場合は、所定点数に1,000点を加算する。
  11. 手術の所定点数は、当該手術に当たって、表面麻酔、浸潤麻酔又は簡単な伝達麻酔を行った場合の費用を含むものとする。
  12. 対称器官に係る手術の各区分の所定点数は、特に規定する場合を除き、片側の器官の手術料に係る点数とする。
  13. 同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合における費用の算定は、主たる手術の所定点数のみにより算定する。ただし、神経移植術、骨移植術又は植皮術と他の手術とを同時に行った場合は、それぞれの所定点数を合算して算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める場合は、別に厚生労働大臣が定めるところにより算定する。
  14. 区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定すべき患者又は著しく歯科診療が困難な障害者に対して訪問診療を行った場合に、当該訪問診療に基づき併せて手術(区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料を算定すべき患者については、区分番号J000に掲げる抜歯手術(1から3までに限る。)及びJ013に掲げる口腔内消炎手術(2に限る。)に掲げるものに限る。)を行ったときは、当該手術の所定点数に所定点数の100分の50に相当する点数を加算する。

通則

  1. 「通則1」、「通則2」及び「通則3」は、手術料算定の内容には次の3通りあることを示しており、輸血料については、手術料の算定がなくとも単独で算定できる。
    1. 手術料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)
    2. 手術料+輸血料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)
    3. 輸血料(+薬剤料又は特定保険医療材料料等)
  2. 手術料の所定点数とは手術料の項に掲げられた点数及び注加算の合計点数をいい、通則の加算点数は含まない。
  3. 通則の加算方法は手術料の所定点数に通則中の各加算を足し合わせたものの合計で算定する。
  4. 手術当日に行われる手術(自己血輸血を除く。)に伴う処置(ギプスを除く。)、検査における診断穿刺・検体採取及び注射の手技料は、特に規定する場合を除き、術前、術後を問わず算定できない。また、内視鏡を用いた手術を行う場合、同時に行う内視鏡検査料は別に算定できない。ここでいう「診断穿刺・検体採取」とは、医科点数表の第3部第4節に掲げる診断穿刺・検体採取料に係るものである。
  5. 手術に当たって通常使用される保険医療材料(包帯、縫合糸(特殊縫合糸を含む。)等)、衛生材料(ガーゼ、脱脂綿及び絆創膏)、外皮用殺菌剤、患者の衣類の費用及び1回の手術に使用される総量価格が15円以下の薬剤の費用は手術の所定点数に含まれる。
    ただし、別に厚生労働大臣が定める特定保険医療材料及び1回の手術に使用される特定薬剤の総量価格が40円を超える場合(特定薬剤にあっては、120点以上の手術又は特に規定する手術に使用した場合を除く。)は、当該手術の所定点数の他に当該特定保険医療材料及び特定薬剤の費用を算定できる。
  6. 「通則3」は、第1節に掲げられていない特殊な手術であって、同節に掲げられている手術のうち、最も近似する手術の所定点数により算定することが妥当であるものについては、その都度当局に内議の上、それらの所定点数を準用することができる趣旨の規定である。なお、歯肉息肉除去手術及び簡単な手術の費用は基本診療料に含まれ算定できない。
  7. 「通則5」による6歳未満の乳幼児又は著しく歯科診療が困難な障害者に対する加算及び「通則6」による極低出生体重児、新生児又は3歳未満の乳幼児に対する加算は、第1節の手術料の所定点数のみに対する加算である。
  8. 「通則5」における著しく歯科診療が困難な障害者の100分の50加算は、治療を直接行う歯科医師に加え、患者の障害に起因した行動障害に対し開口の保持又は体位、姿勢の保持を行うことを目的として、当該治療に歯科医師、歯科衛生士、看護師等が参画した場合等に算定するものであり、当該加算を算定した日の患者の状態を診療録に記載する。
  9. 「通則5」における加算において6歳未満の乳幼児が著しく歯科診療が困難な障害者である場合の100分の50加算は、乳幼児加算のみを算定する。
  10. 「通則5」、「通則6」及び「通則9」の適用範囲は、第1節の手術料に定める手術のみであって、輸血料、手術医療機器等加算、薬剤料、特定薬剤料及び特定保険医療材料料に対しては適用されない。
  11. この部における「主たる手術」とは、所定点数及び注による加算点数を合算した点数の高い手術をいう。
  12. 「通則8」の加算は、HIV-1抗体価(ウエスタンブロット法)若しくはHIV-2抗体価(ウエスタンブロット法)によってHIV抗体が陽性と認められた患者又はHIV-1核酸同定検査によってHIV-1核酸が確認された患者に対して観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。
  13. 「通則9」の入院中の患者以外に対する手術の休日加算、時間外加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。
  14. 「通則9」の入院中の患者に対する手術の休日加算又は深夜加算は、医科点数表の例により算定する。
  15. 「通則9」の休日加算、時間外加算又は深夜加算の対象となる時間の取扱いは初診料と同様である。また、「通則9」の加算に係る適用の範囲及び「所定点数」については、「通則5」の加算の取扱いと同様である。
  16. 緊急のため保険医療機関の表示する診療時間以外の時間に手術を行った場合の時間外加算又は深夜加算は、既に1日の診療の後片付け等が終わった後で、特に手術する必要がある急患のため再度準備を開始する等相当の不測の労力に対する費用として時間外加算等を行う趣旨であるから、時間外であっても予定された手術を行った場合においては時間外等の加算は認められない。
  17. 「通則9」にいう「所定点数が150点」とは、各区分に規定してある所定点数が150点という趣旨である。ただし、その処置・手術が全体として一体と考えられる手術を行った場合には、個々の所定点数が150点に達しなくとも、それらの合算点数が150点以上のときは加算が認められる。
  18. 歯科領域における緊急疾病の場合(時間外)、例えば外傷時における手術で2本以上の歯を抜歯する場合であって、全体として一体と考えられる手術を行う場合においては、それぞれの抜歯の所定点数が150点に達しなくても、各抜歯の所定点数の合算点数が150点以上のときは、「通則9」の加算が認められる。
  19. 手術を開始した後、患者の病状の急変等やむを得ない事情により手術を中途で中絶せざるを得なかった場合においては、当該中絶までに施行した実態に最も近似する手術項目の所定点数により算定する。
  20. 「通則10」の加算は、次のいずれかに該当する患者に対して全身麻酔、硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を伴う観血的手術を行った場合に1回に限り算定する。ただし、同一日に複数の手術を行った場合は、主たる手術についてのみ加算する。
    1. 感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準により医師により届け出が義務付けられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の患者(診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断がなされたもの。)
    2. HBs又はHBe抗原によって抗原が陽性と認められたB型肝炎患者
    3. HCV抗体価(定性、定量)によってHCV抗体が陽性と認められたC型肝炎患者
    4. 微生物学的検査により結核菌を排菌していることが術前に確認された結核患者
  21. 「通則12」でいう「特に規定する場合」とは、各区分における手術名の末尾に両側と記入したものを指す。なお、この場合において、両側にわたり手術を行う医療上の必要性がなく片側の手術のみを行った場合であっても、両側に係る所定点数を算定できる。
  22. 歯科訪問診療は常時寝たきりの状態等であって通院困難な療養中の患者について実施されるものであるが、消炎鎮痛、有床義歯の調整等の訪問診療で求められる診療の重要性を考慮し、当該患者に行った区分番号I005に掲げる抜髄、区分番号I006に掲げる感染根管処置、区分番号J 000に掲げる抜歯手術(「1 乳歯」、「2 前歯」及び「3 臼歯」に限る。)、区分番号J013に掲げる口腔内消炎手術(「2 歯肉膿瘍等」に限る。)、区分番号M029に掲げる有床義歯修理について所定点数に所定点数の100分の50を加算する。
  23. 「通則13」の神経移植術とは区分番号J101に掲げる神経移植術をいう。
  24. 「通則13」の同一手術野又は同一病巣の算定は、医科点数表の例により算定する。ただし、区分番号J000に掲げる抜歯手術から区分番号J004-3に掲げる歯の移植手術を単独で行う場合については、個々の区分により規定する算定単位に応じて算定を行うものとする。
  25. 同一手術野又は同一病巣に対して複数の手術を行った場合は、主たる手術の所定点数により算定し、従たる手術においては診療録に手術の名称、手術の内容、部位等を記載すること。
  26. 第9部に規定する以外の項目については、医科点数表の第2章第10部に掲げる手術の例により算定する。

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歯科診療報酬点数表[目次]

第1章 基本診療料

第1部 初・再診料

第2部 入院料等

第2章 特掲診療料

第1部 医学管理等

第2部 在宅医療

第3部 検査

第4部 画像診断

第5部 投薬

第6部 注射

第7部 リハビリテーション

第8部 処置

第9部 手術

第10部 麻酔

第11部 放射線治療

第12部 歯冠修復及び欠損補綴

第13部 歯科矯正

第14部 病理診断

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外部リンク

第2章 特掲診療料
【第9部手術・目次】

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